トム・ホランド版スパイダーマンの最新作、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を鑑賞してきたので、今回も忖度なしでレビューをしていく。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の評価が気になる人は参考にしてみてほしい。
※本記事にはネタバレ・忖度なしの感想が含まれています。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』をレビュー【100点】
引用:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
トム・ホランド版のスパイダーマンとしては3作目となる本作。
結論から言うと、これまでのスパイダーマンシリーズの中でもダントツ、
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)特有の、過去作品をどれだけ見てきているかで満足度に影響が出る点は相変わらずだけど、いまさら本作だけ単発で見る人は少ないだろう。
ただ、せめてMCUは事前にどの作品を観ておくべきか明記するべきだとは思う。
と言うわけで、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を鑑賞する前に見ておいた方がいいと思われる作品をチョイスしてみた。
『スパイダーマン2(2004年)』
『スパイダーマン3(2007年)』
『アメイジング・スパイダーマン2(2014年)』
『スパイダーマン:ホームカミング(2017年)』
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年)』
『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年)』
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年)』
1本2時間で計算しても、単純に20時間が必要。
しかも、アベンジャーズ関係はそれを楽しむためにさらに下調べが必要になる。
本作を鑑賞する場合、上記の作品を知っているかどうかでかなりの温度差ができるため、彼氏彼女と一緒に観る場合は事前にチェックをするようにしよう。
どうしても時間が取れない人は、せめてマーカーの作品だけでも観ておくことをオススメする(これでも10時間近く必要だが)
これぞスパイダーマンシリーズの集大成
前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』にて、スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることが世間にバレる。
それをなかったことにしたいとドクター・ストレンジへ依頼するところから本作の話は始まっていく。
アイアンマンなき今、不器用ながらもピーターを導いてくれるドクター・ストレンジがなかなかに頼もしかった。
また、ドクター・ストレンジの作り出すミラー・ディメンション(別世界のようなもの)で繰り広げられる、スパイダーマンとの追いかけっこは一見の価値あり。
前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でも、仮想空間でのアクションシーンが印象的だったけど、今回もそれに負けず劣らずのクオリティ。
トム・ホランド版を担当するジョン・ワッツ監督は、こういった異次元空間を取り入れた遊びのある演出が得意なのかもしれない。
続くドクター・ストレンジの新作もこの監督が作ったら面白くなりそうだけど、次はサム・ライミ監督が作るらしい(それはそれで面白そうだ)
さて、そのドクター・ストレンジの魔術により、図らずもマルチバースから「過去のスパイダーマンシリーズのヴィラン」が呼び出されるわけだけど、これはホントに鳥肌モノだった。
学生時代に映画館で見たヴィランが、同じ配役で再び目の前に現れるのだから、
世界線が違うピーターとのやり取りも面白かったし、これまでのシリーズを観てきた人だけが悦に浸れるポイントでもある。
それに、ヴィランのほとんどが頭のいい元科学者だけあって、話の飲み込みが早いのもストレスが少なくていい。
ただ結果的にそれが災いし、ゴブリンに裏をかかれてしまい、最愛のメイおばさんを失ってしまうことになる。
ここは涙なしには見られない本作屈指の感動シーン。
ただ、ここから身も心もボロボロになったピーターと、それに共感する観客へ、最高のエールが送られることになる。
マルチバースということはもしかしてと思ってたけど、まさにその「もしかして」だった。
過去シリーズのスパイダーズが満を持して集結。
どん底に追いやられたピーター(トム・ホランド)を、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールド演じる歴代のスパイダーマンたちが励ましてくれるんだけど、それぞれが大切なものを失い、そしてその悲しみを乗り越えてきているので、彼らの説得力は抜群。
ピーターと一緒に観客も勇気づけられ、そこからヴィランへ立ち向かう決心をする流れは完璧である。
また、その後のスパイダーマン同士が悩みを打ち明けるシーンも本作の見所。
ウェブシューターや過去に対峙したヴィランなど、スパイダーマンあるあるを談笑し合う姿はこっちまで微笑ましくなってくる。
もちろん思い出補正もあるだろうけど、どのスパイダーマンも魅力ある素晴らしいヒーローだと改めて気付かされるシーンだった。
サム・ライミ版スパイダーマンのトビー・マグワイアの存在感も凄いけど、アメイジング・スパイダーマンのアンドリュー・ガーフィールドも素晴らしかった。
クライマックスに彼がMJをキャッチした時のあの表情、何も語らずとも、それだけで涙腺が崩壊してしまう。
話題性だけじゃなくて、しっかりと過去の作品をリスペクトしているからこその演出が盛りだくさんとなっていた。
彼らに会うためにリピートする価値は十分あるだろう。
マルチバースストーリーはもう少しシンプルでもよかった
引用:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
マルチバースからやってきたスパイダーマンとヴィラン。
後半からは、ヴィランを元の世界へ追い返すための戦いが始まるわけだけど、ここで重要になってくるのがただ追い返すだけでは駄目ってところ。
映画の中でも触れているように、元の世界線ではヴィランたちはそれぞれのスパイダーマンに野望を阻止され、そして死んでしまう。
ただ送り返すだけでは結局同じことの繰り返しになってしまうため、すべてのヴィランを救うべく、ピーターはそれぞれ解決の糸口を探っていくことを決意する。
そこが本作の最大のメッセージで、ピーターが少年からヒーローへと成長する道筋となっている。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』同様、ただ倒すだけじゃない、深読みのできる素晴らしい脚本だとは思う。
ただ個人的にだけど、ここはもっと分かりやすく、シンプルに悪役を倒す流れでも良かったかなと。
特にクライマックスのバトルシーンでは、アベンジャーズ並みの人数で戦うものだから、あれもこれもで終始ドタバタしすぎて、ついていけなくなりそうになった。
「全員を助けたい」という、メイおばさんの願いも尊重できるし、まだ学生であるピーターの成長を描くには最高のストーリーではあるけど、ただ、もっと爽快感のある別の結末も見てみたかったというのは贅沢過ぎるだろうか。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』をレビュー・まとめ
引用:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の個人的レビュースコアは
小さなツッコミどころはあるものの、それを吹き飛ばすほどの感動を与えてくれる、シリーズ最高傑作となっている。※本作だけの鑑賞だと感動が半減する点は注意。
本作鑑賞後はサム・ライミ版スパイダーマンを見返したくなるし、アメイジング・スパイダーマンの続編も観たくなってしまうはず。
この際だから、マルチバースという、言ってしまえば何でもありの設定を活かしてもらい、是非とも復活を果たしてもらいたいところである。