「るろうに剣心 The Final」をレビュー【二郎系チャンバラアクション映画】

Netflixにて『るろうに剣心 The Final』を鑑賞したので、さっそくレビューしてみる。

忖度なしで「良かったところ・悪かったところ」を紹介していくので、『るろうに剣心 The Final』が気になっている人は、ぜひ参考にしてみてほしい。

※前情報として、過去3作は鑑賞済み。本作のベースとなる、原作『人誅編』は未読。
※本記事にはネタバレ・忖度無しの意見が含まれています。

『るろうに剣心 The Final』をレビュー【60点】

映画『るろうに剣心』と言えば、知る人ぞ知る人気漫画の実写映画化シリーズ。

逆刃刀を手に、佐藤健演じる緋村剣心が次々と敵をなぎ倒していく、ハイスピードアクション時代劇である。

そんな『るろうに剣心』も今回の『The Final』で4作目…、

流石に息切れしてきたか。

正直最後までモチベーションを保てなかった。

上映時間も2時間を超えてくるため、よほど思い入れのあるファンじゃないと途中で疲れてしまうだろう。

というわけで、まずは『るろうに剣心 The Final』の悪かったところを紹介していく。

ひたすら同じアクションが続く

CGよりもワイヤーアクションを主軸とした殺陣は、『るろうに剣心』シリーズの見どころの一つ。

ただ、4作目ともなるとネタ切れは否めない。

原作がそもそもバトル漫画なので、アクションシーンがメインなのは仕方ないとしても、もっとバリエーションが欲しいところ。

確かにどのアクションも世界に通用するレベルで、見ているときは「スゲェ…」となるんだけど、全体的にどれも同じようなシチュエーションが多く、映画を見終わると記憶に残っていないものがほとんど。

ジャッキー・チェンやジェット・リーの映画のような、何年経っても忘れられないシーン、そういったものが本作には殆どなかった。(過去作だと、神谷道場の襲撃シーンや、宗次郎戦、志々雄真戦など、それなりに記憶に残る戦闘シーンもあったのに…。)

どこか既視感のある戦闘が続くため、これまでの過去作をよく見てきた人ほど退屈に感じてしまうだろう(しかも一つのアクションシーンが長い)

中途半端なCGに頼った戦闘を見せられるよりは全然マシなんだけど、どんなに上質なものでも同じものが続いてしまうと飽きるのが人間の性。

エンタメ性が低い

本作のアクションシーンが退屈に感じるもう一つの理由として、そのエンタメ性の低さがある。

アクション映画やバトル漫画の場合、そのアクションシークエンス自体の面白さも大事だけど、それよりも、いかにそのアクションまでに観客の期待値を盛り上げていくかが重要となってくる。

本作の場合、盛り上げかたが雑というか、全編を通してシリアスな雰囲気が常に漂っていて、肝心のアクションがいつ始まるのか、いつ終わるのか、その予想がつきにくい。

先が読めない展開はサスペンス映画だとアリだけど、アクション映画の場合はストレスになることも。

特に少年漫画のようなヒーローものは、「どっちが勝つか」のドキドキ感より、「どうやって勝つか」の爽快感が求められる。※もちろん「ここで戦うの⁉」といった捻りが効く場合もある。

 

例えば、アクション映画の一つ『イップ・マン(ドニー・イェン主演)』

 

ブルース・リーの師匠、イップ・マンが主役のカンフー映画なんだけど、この映画はアクションシーンも凄いけど、エンタメ性もかなり高い。

悪役がしっかり悪役をしていて、主人公の怒りのボルテージがアクションシーンへ向かって徐々に上がっていく。

観客を置いてけぼりにすることなく、まるでプロレスを見ているかのような一体感と高揚感を得ることができる映画になっている。

淡々と100人の敵を倒すよりも、観客と気持ちを一つにして10人を倒す方が面白いのである。

脇役のジレンマ

友情・努力・勝利を三原則とする少年ジャンプ。

仲間と協力し、総当たり戦で強大な敵に立ち向かうのはバトル漫画のお家芸と言える。

『るろうに剣心』も例にもれず魅力的な仲間(脇役たち)が登場するんだけど、残念ながら実写映画という土俵では、

邪魔者以外の何物でもない。

相楽左之助、斎藤一、篠森蒼紫など、とりあえず戦わせておけって感じで、取って付けたような見せ場が用意されているが、完全に蛇足。

そもそも2時間という限られた時間で、キャラクターそれぞれの魅力を演出するのは無理がある。

主人公と宿敵の紹介でギリギリ、脇役はどうしても存在感が薄くなってしまう。

これが先にも紹介したエンタメ性の低下へと繋がっていて、本作がバトルシーンが多いだけで全然盛り上がれない作品に仕上がってしまった要因である。

「過去に3作も作られているなら、少しくらい平気では?」と思うかもだけど、これは例えばアベンジャーズのように、それぞれのキャラが映画一本任せられるくらいの存在感がある場合だけ許される。

いくらファンサービスとは言え、映画のクオリティを下げてまで脇役を登場させるのは疑問が残るところだった。

『るろうに剣心 The Final』の良かったところ

そんな感じで、過去作に比べると勢いが右肩下がりになってきた印象を受ける本作。

ただ、良かったところもある。

なんだかんだアクションはやっぱり凄い

マンネリ気味とは言え、やっぱりアクションシーンは本作の見所。

特にワイヤーアクションの完成度は世界レベル。

過去作も凄かったけど、今作ではさらにレベルアップしているように見える。

ガトリング砲を走って避けたり、機関車をジャンプで飛び越えたり…

人間離れした漫画的な動きでありながら、ギリギリの範囲で重力設定がされているため、役者がワイヤーに吊るされているようなチープさをまったく感じない。

すごいバカげた動きを、すごい真面目に演じると、

めちゃくちゃカッコいい。

また、メインのチャンバラシーンも相変わらずの完成度。

目で追いつかないほどのスピードで剣撃が繰り出されるんだけど、わざわざスローにしたり、アップにしたりはしない。

クライマックスのような戦いが序盤から始まり、これくらいは通常運転ですよと言わんばかりの余裕が見られる。

映画館で見ていれば迫力も凄かっただろうけど、1回見ただけで把握できる物量ではないので、繰り返し確認ができる動画配信やBlu-rayも需要はある。

アクションへの動機づけが薄かったり、アクション自体が長すぎるのが残念ではあるけど、何も考えずにアクションシーンを楽しみたいって人は、そこだけのために見ても損はしないはず。

『るろうに剣心 The Final』のレビュー・まとめ

と言うわけで『るろうに剣心 The Final』の個人的なレビュースコアは60点。

これまでのような勢いは失いつつあるけど、プロモーションビデオのようにアクションシーンだけを楽しみたい人であれば鑑賞してみる価値はあり。

近年まれに見るハイクオリティチャンバラを堪能できるだろう。

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