エルデンリングをレビュー【あえて傑作RPGの不満点を考えてみる】

死にゲーとオープンフィールドRPGをかけ合わせた、フロム・ソフトウェアの最新作『エルデンリング』

発売日から寝る間を惜しんで遊び続け、そのプレイ時間はあっという間に200時間を超えてしまいました。大手メディアサイトなどで最高得点を叩き出し続けているのも納得の完成度と言えます。

ただ、傑作故に長時間遊ぶほど大なり小なり欠点も目立つようになってくる…。

というわけで本記事では、賞賛の嵐である本作の、あえて重箱の隅をつついていきます。

エルデンリングをレビュー【80点】

個人的なエルデンリングの評価は、前半が100点満点、後半は60点。間を取って80点といったところ。

自由度の高い本作で、どこまでを前半と呼ぶのかは難しいところですが、ここでは100時間くらいのプレイ時間を目安にしています。(100時間を前半と呼べる時点ですでに凄いのだけど)

本作の舞台である「狭間の地」に降り立ってから100時間、初めて目にするものすべてが最高の体験となります。

クエストマーカーや無駄なお使いなどはなく、ただただ自由。何をすればいいか分からないのに、自然と歩みは進み、徐々に黄金樹のふもとへと近づいていく。

広いだけのオープンフィールドではなく、最低限の情報でプレイヤーを目的地へと誘う、ゲーマーの心理を知り尽くしたフィールドデザインがとにかく素晴らしい。

ここで味わう驚きや感動は、できるだけネタバレなしで、一人噛み締めながら楽しんでもらいたいところ。(あえてオフラインでプレイするのも一興と言えます。)

傑作RPGエルデンリングの不満点とは

前半…と言うより1周目クリアくらいまでは文句なしの100点満点。仕事終わりに少し遊ぶ程度のライトゲーマーであれば、クリアするまでの数ヶ月、最高のモチベーションを維持できるでしょう。(私生活に影響が出る程度に)

では、なぜ後半の評価が下がるのか。

実際に200時間近く遊んでみて感じたポイントは下記の5つ。

  • ボスの使いまわし
  • ダンジョンのバリエーションが少ない
  • 周回に魅力がない
  • 戦闘が大味すぎる
  • マルチプレイが不便

ボスの使いまわしと複数ボスとの戦闘

100時間程度では把握できないほどのボリュームは本作の魅力ですが、やり込むほどにボスの使いまわしが目立つのは残念なポイント。

道中に配置されるモブキャラはまだ許せるとしても、ボスキャラの使い回しが多いのは後半になるほどダレてきます。

とくに複数体のボスと戦闘を強いるのは、「これほどの作品でもか…」と落胆してしまったのが正直なところ。

死にゲーと言えばボス戦はメインディッシュ。ここは手抜きをしてはダメ。

もちろん戦っていて楽しいボスキャラは望むところですが、それもできることなら周回要素やボスラッシュへ回してほしかった。

ダンジョンのバリエーションが少ない

また豊富なダンジョンも、後半になるにつれて似たようなものが目立ってきます。

本作のメインであるレガシーダンジョン(城や遺跡などの大規模ダンジョン)は流石の作り込み。

しかし、それ以外の各地に点在する小規模ダンジョンは、ボス同様使い回しが多く見受けられます。そのほとんどが洞窟や地下墓地で統一されており、構造こそ多種多様ですが、やることはボス部屋の鍵を探して開けるだけのワンパターン。

テクスチャやオブジェクトも使いまわしが多く、ワンシーンだけ切り取ってもどこのダンジョンか見分けはつかないかもしれません。

しかも後半になるほどボスも見たことがある顔が増えてくるので、さらに驚きも少なくなってくる。

あと個人的に、

英雄墓地のチャリオット(戦車)は最悪。
あれを考えた人はファミコン時代で思考が止まってしまっている。(精一杯の皮肉)

周回に魅力がない

上記の使い回しによるボス戦やダンジョン攻略も、初回であれば様々な報酬も相まって、クリアする動機となります。

 

しかし、2周目以降は流石に辛い。

 

ハクスラ要素のない本作ではダンジョンのクリア報酬は固定されており、1周目でクリアしてしまえば、ほとんどの場合において2回目を挑む意味は薄くなります。(武器を2つ入手して二刀流にしたいなどの理由を除き)

さらにボスやダンジョンが使い回しであれば尚更です。

前回苦戦したボスとのリベンジマッチもありですが、ほとんどの場合1周目の後半に複数体を相手にしているので、いまさら単体で出てきても手応えを感じにくい。(むしろ複数体出てくるのは2週目からでもよかった。)

クエストの強制力が少ない本作では、嫌いなボスにわざわざ挑まなくていいのも、良いところであり悪いところでもある。

「ここは面倒くさいから行かないでいいか」で進めると、2周目以降は自然とボリュームも少なく感じてしまいます。

モブキャラ同様、ボスにも一定確率でレアアイテムをドロップするようなシステムがあれば、もう少しモチベーションを保てたかもしれません。

必殺技と必殺技をぶつけ合う大味な戦闘

本家ソウルライクの血を引き継ぐ本作では、敵の一撃は致命傷となり、一瞬の油断が命取りとなります。

敵の攻撃パターンを覚え、僅かな隙きを突きながら各個撃破をしていく流れは、まさしく死にゲー。

とくにレベルの低い最序盤のやりごたえはかなりのもの。

ただ、後半になればなるほど、敵の攻撃は激化の一途を辿り、真面目に相手をするのが馬鹿らしくなってきます。

被弾ありきの、高速・高威力・広範囲の3K攻撃が主流で、戦闘バランスは決して良いとは言えません。(まぁ、ダークソウルやSEKIROのように、プレイヤーのレベルをある程度制御できる作品と違って、バランス調整はかなり難しかったでしょうが。)

そして、その対策として用意されたのが、それらよりさらに強力な、戦技(スキル)と戦灰(コンパニオン)…。

 

プレイヤーよりも強い戦灰に敵の的になってもらい、本人は敵の背後から強力な戦技を叩き込む。そして、流れ弾に被弾すれば回復薬をがぶ飲みし、あとは、できるだけ戦灰が長生きしてくれるのを祈るばかり。

後半になるほど、この戦い方が常套手段になってしまい、敵の動きを覚える必要もなくなってきます。

本来、死にゲーといえば、相手のグーに対して素早くパー、もしくは、あいこのグーを出す後出しジャンケンゲーム。

今の動きはグーで、あれがパー。と死にながら敵の動きを覚えるのが醍醐味であるはずが、本作ではとにかく相手より先にグーで殴り、パーでビンタ、チョキで目潰しをすることが求められます。

そもそも本作はRPG要素を含んでいるため、このバランスも決して間違いではないのですが、中盤から戦い方がまったく変わってくるギャップは好き嫌いが分かれるところでしょう。

個人的には序盤のギリギリの戦いが好みだし、もちろんそのスタイルを貫き通す自由度も本作にはあります。(戦灰や戦技を縛るなど)

ただ、当然敵の数や動きはこちらに合わせてはくれないので、それなりのストレスを感じるし、想像よりも達成感は低いです。

ディレイ攻撃がメインで気分が悪くなる

これも戦闘関係の不満にはなりますが、本作の敵は攻撃のタイミングをずらしてくる、いわゆるディレイ攻撃が多すぎるように思います。

敵が斧を振りかぶり、貯めて…貯めて…(来る…!)ローリング!…からの振りかぶりで被弾する。

元プロゲーマーのSHAKA氏が、『SEKIRO』を敵の攻撃を弾く音ゲーに例えていましたが、確かに敵の攻撃に合わせてタイミングよくボタンを押す死にゲーは、まさしく音ゲー。

ただ、本作の場合、とにかくディレイ攻撃が多すぎて、リズム感の悪い不快な音ゲーになってしまっています。

たまにのディレイであれば、「なるほど、そうくるかぁ…」とアクセント程度に楽しめますが、ボスから雑魚敵までとにかく不快な攻撃が多すぎるので、遊んでいると気持ちが悪くなってきます。

フロム・ソフトウェアが「達成感」を味わってほしくてゲームを開発しているのはわかりますが、「膨大な課題をクリアしたときの達成感」と「膨大なストレスを耐えた疲労感」を履き違えている気がするのは私だけでしょうか…。

マルチプレイが不便

個人的にエルデンリングのマルチプレイはオマケ程度に捉えているので、そこまで気にすることではないのですが、それでも少し作りが甘いように思いました。

とくにフレンドとのマルチプレイは、パーティーを組むまでの過程が複雑で(慣れれば問題はないですが)、合言葉の設定や、ダンジョンごとに解散したりと、長時間のプレイに向いていません。

それに、本作の魅力である広大なオープンフィールドをパーティーで冒険できないのも寂しいところ。

マルチプレイを優先してシングルプレイが破綻してしまうよりはマシですが、もう少しシンプルに楽しめるようなマルチプレイ専用のモードがあってもよかった気がします。

終わりがあるのはいいことかもしれない

以上がエルデンリングを200時間近く遊んでみて感じた不満点になります。

改善する余地はまだまだあるにしても、それを差し引いても本作が傑作であることは紛れもない事実。

そもそも100時間以上も楽しんでおいて、不満点を上げるのもどうかとは思いますが、これも傑作をもっと楽しみたい故の願望でしょうか…。

むしろ考えようによっては、100時間しっかりと楽しみきれる絶妙なバランスとも言えます。もしこれが上記のような不満点もなく、永遠に遊べるような作品だと、

間違いなく私生活が破綻してしまいます。

スカイリムやフォールアウト4のような、1,000時間以上遊べる作品も望むところではありますが、終わりがあるのも幸せなのかもしれません。

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