弱きを助け強きをくじく、ハリウッド版必殺仕置人「イコライザー」シリーズの最新作、「イコライザー THE FINAL」を鑑賞しました。
2014年から始まった「イコライザー」シリーズの3作目。もうすぐ70歳を迎えようかというデンゼル・ワシントンですが、さすがにアクションがきつくなってきたのか、ちょっぴり限界を感じる作品になっていました。
1作目が80点、続く2作目が70点とすると、本作は60点くらい、でしょうか。
イコライザー THE FINALをレビュー
主人公は、これまで同様、元特殊諜報員のロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)。隠居の身ながら、困った人を放っておけない正義感は健在で、いつも陰ながら人助けを続けています。
人助けと言っても、強盗退治や人質救出、人身売買を生業とするロシアンマフィアの殲滅など、元諜報部員だけあってその内容は規格外。
本作でもそんな人助けの一環として、テロリストが潜伏する拠点を強襲するシーンから始まる。
今回の舞台はイタリアの小さな港町。とある理由からロバートはこの町に身を潜め、住人たちと共に暮らすことになります。
最初はよそ者として警戒されていたロバートですが、その人柄の良さからすぐに住人たちと打ち解けていきます。
いつも穏やかなロバートと、周りの心優しい住人たち。そして、美しい街並みは、見ているこちらも自然と幸せな気持ちになります。
そんな平穏な暮らしを守るため、町の治安を乱すマフィアへ対抗することになる、というのが本作の大きなプロットです。
アクションに期待すると、肩透かしを食らう。
個人的に残念だったのが、シリーズ恒例のスタイリッシュなアクションが少なかったこと。
予告にも登場した、序盤の9秒殲滅シーンこそ素晴らしかったものの、残念ながら最大のピークもその9秒間のみでした……。
全体的にアクションシーンのボリュームが少なく、さらに後半になるほど質も下がっていきます。年齢のためかワシントンの体が映るシーンも少なく、肝心のクライマックスも、暗闇からの串刺しや銃殺による不意打ちがほとんどで、消化不良で終わりを迎えます。
願わくばイタリアの町並みを活かした「ジェイソン・ボーン」を超えるようなアクションが見てみたかったでした。(決してパルクールが見たいというわけではなく、イコライザーらしい小道具を使ったずる賢い戦い方で。)
ロバート・マッコールというキャラが控えめ。
また過去作に比べて、ロバート・マッコールのキャラが薄く感じたのもマイナスポイント。
劣悪な環境で育ってきた少女に、「住む世界を変えろ」と救いの手を差し伸べたり、ギャングと関わる青年へ「お前は死がどんなものか知らない!」と論したり、冷静な言動の中に熱さを感じるのがマッコールの魅力でした。
しかし、本作では、これまでのような問題を抱えた人物は登場しないため、マッコールの心を熱くするようなセリフや行動がほとんどありません。そのため、どこか薄っぺらい話に仕上がってしまっています。
ちなみにヒロイン役のダコタ・ファニングについては、デンゼル・ワシントンのファンであれば「マイ・ボディガード」以来の共演ということで胸アツのポイントとなるのですが、残念ながらここも今ひとつ盛り上がりません。
重要そうで重要じゃない中途半端な役どころで、無理やり登場させようとするためかダコタが登場するたびにテンポが悪くなっていました。
1作目を観た際に、クロエ・グレース・モレッツの登場シーンが少なく物足りなく感じていたが、今となってはあれぐらいメリハリがあったほうが映画として引き締まってよかったのかもしれません。
ただ、最後に判明するあるサプライズは、シリーズファンには嬉しい、いいスパイスにはなっていました。
それでもやっぱりマッコールさんが好き。
というわけで、最終章としては物足りない部分が多く、期待外れだったというのが正直な感想にはなってしまいます。
ただ、それでもイタリアの美しい街並みを舞台に、ロバート・マッコールを見れるのは嬉しいです。
それに本作は、彼が安息の地を見つける物語でもあるため、シリーズファンであれば観る価値は十分にあるでしょう。
シリーズ未見の人はぜひ1作目を見てみてほしいし、そこでロバート・マッコールという人間に惹かれた人は、2作目と本作をそのまま追いかけて、彼の最後を見届けてみてほしいです。
きっと見終わったあとに穏やかな気持ちになるはず。